理事長挨拶

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1954年生まれの私は、『かかわり合いをかかわり愛にする!』をモットーに、家族こころ相談室(カウンセリングルーム フェアリー)を2005年に開業し、長年にわたり家族の人間関係のご相談をたくさんお引き受けさせていただきました。

クライアント様の抱える悩みや課題は、表面的にはそれぞれ異なりますが、ご相談の根本的な解決には共通の課題がありました。一つは、日常で使っている言葉、言い方、自分の気持ちを伝えるときの相手への伝え方、相手の言い分を聴くときの聴き方、異なる考えや価値観を受け取るときの姿勢、それらのコミュニケーションです。もう一つは、私たち人間が創り出す「社会全体」に対する「普遍的な考え方」を共有していなかったことです。たとえば「平和について」「幸福について」「人生について」「生きるとは何か」など、これらは本来であれば、もの心ついた子どもの頃から周囲のおとなたちが積極的に話題に取り上げ、議論し合うチャンス(場)を与えて、考える習慣を身につけることが望ましい教育のあり方でした。

しかし、第二次世界大戦に突入した頃からでしょうか、学校でも家でもそういった話題を取り上げる機会が減り、戦後に至っては敗戦による産業の遅れを取り戻そうと結果重視主義、合理主事、〇〇だけが良いという至上主義を掲げ、過激な競争社会をつくり、国民は勝ち負けや優劣に翻弄され、国民の考える力を衰退させてしまいました。本来であれば、すべての国民にとって何がいいのか? 私たち一人ひとりが自分の考え、意見を出し合い議論討論を何度も重ね、切磋琢磨して国の進む方向性を決めていくことが望ましいのです。そうすることによって、経済面でも精神面でもできるだけ人間尊重の「格差のない社会」づくりができ、少数の誰か(既得権者)の満足のために、どこかで多くの誰かが犠牲になることがなくなります。犠牲者を出すということは、それが社会の歪みなのです。犯罪などの反社会的行動、いじめ、虐待、不登校、自殺・・・決して個人が弱いからではありません! 決して個人が悪いわけではありません。行為行動、おこない自体は罰せられることであっても、赤ちゃんのときから誰もそういう人になろうと思う人はいません。誰も加害者にも被害者にもなりたくないのです。

つまり、今、個々の家族に起きている問題や課題は、実は大きな社会問題が根底要因にあることを当相談室では、みなさまに伝え続けてまいりました。そんな毎日の中で、面談あとに、たいへん多くのみなさまから「もっと早く知りたかった!」この声を聞きました!! クライアント様から『そういうことだったのですね。なにも知りませんでした。もっと早く知っていたら、こんなに収拾がつかないほどこじれなくて済んだのに・・・』『もっと早く知りたかった!もっと早く聞きたかった!こうなる前に学びたかった!』という言葉をたくさんいただきました。

そのような声をいただくたびに、私自身も考えました。相談室では、問題がかなり重症化してからご相談に来られる方がほとんどですが、それをなんとか未然に防げないものか? こうなる前に知識として知っていただき、それをトレーニングで身につけていただける方法はないものかと考えました。そこで、私は、「理論と実践と継続できる」本協会を創設いたしました。

夫婦の問題も親子の問題も、事態がかなり悪化してからご相談に来られる方がほとんどです。しかし、事が起きる前に、知っていれば防げる出来事もいっぱいあります! それをお届けしたいのです。多くのみなさまに伝えたい。輪を広げていただきたい。あらゆる組織のいちばん小さい単位は「家族」です。家族をつくるのは夫婦です。夫婦の仲が良いことが世界の平和につながると言っても過言ではありません。妻が夫を、夫が妻を、大切に思い、ちがいを乗り越えて、真に愛して愛される喜びを得ること、満たされることによって、恋愛のような一時の熱愛とは異なる、多くの他者をも愛する気持ち、他者を大切にする気持ち、自分も相手も互いに人権を尊重し、誰もが大切な存在であることに気づくこと、子どもにも伝え、子どもがそういうおとなになること。

勝ち負けでもなく優劣でもなく、役割はちがっても、人として対等な人間同士だと思える社会をつくりたい。互いに尊重し合う共同体感覚を養っていただきたいと思います。そのような考え方が広く一般市民に定着すると、本当に世界は平和になります。壮大な目的に向かって、小さな一歩ですが、私は多くのみなさまと、仲間と創っていきたいと考えております。

理事長 菊地美代子